ビルメン事業承継問題で後継者が陥りがちな罠「先代や古参社員のせいにしてしまう!?」
後継者が陥りがちな罠として、何か問題があったとき、ついそれを先代や昔からいる古参社員のせいにしてしまうことがあります。
さまざまな事業のせいで後継になったのだとしても、社長は会社のリーダーです。リーダーにはリーダーシップが必要です。リーダーシップの本質は、責任を引き受けるということです。人のせいにせず、すべては自分の責任であると引き受ける覚悟こそが、リーダーには欠かせません。
問題を人のせいにすると気持ちは楽になるかもしれませんが、その問題は自分の手から離れてしまい、自分では解決しようがなくなってしまいます。 また、そのようなリーダーに心からついて行こうという社員はいないでしょう。
昔は、社長がだらしなくても、番頭が有能なら会社は持つものでした。しかし、変化の激しい昨今において企業の盛衰は、一重にリーダーである社長にかかっています。企業は社長の器以上に大きくならないものだという金言を心しなければなりません。
ビルメン事業承継問題で後継者が陥りがちな罠「セミナー・コンサルには答えはない」
後継社長はとりわけ会社を引き継いだ当初、果たしてうまく社長としてやっていけるのか不安を感じます。先代と比較されたり、周りからお手並み拝見といった視線を浴びたりして、自信を失うこともあるでしょう。
そうしたとき、つい同じような境遇の社長や同業者の組合、セミナー、コンサルに救いを求めたくなります。お互い共通するとこも多く、なんとなく気が落ち着くこともあるでしょう。 結果的にそうした方面の人脈とばかり付き合うようになってしまいます。 厳しいことを言うようですが地元の後継者の組織や団体には、同じような境遇、考え方の人間が集まって、内輪話に花を咲かせて、そのなかで自己満足
している人が多いと感じます。
しかし、似た者同士の会話は愚痴や噂話になりがちです。そこには本業の新たな発展に寄与するような真のネタもなく、刺激もなく、新たな発想が生まれるきっかけもありません。
また、それだけなら害も少ないですが、中には下手な似非コンサルに騙されたり、洗脳まがいなセミナーに絡めとられて会社も財産も失ってしまう人もみえます。
そもそも会社を継ぐ器ではなかった。で片づけてしまうにはあまりにもさみしい結末もあります。従業員、そしてその家族の生活も引き受ける気概が社長には必要です。くれぐれも、危ないところを察知する嗅覚をもち、また優れた同業の先輩に倣う謙虚な姿勢を持ちたいものです。
ビルメン事業承継問題で後継者が陥りがちな罠「新事業・新規ビジネスには注意!?」
二代目社長には不安がつきものだと書きましたが、それが別の形で現れることもあります。
なんとか自分の力を示し、社内はもちろん取引先などにも認めさせたいという焦りになるのです。その結果、先代とは違ったこと、他社とは違ったことをやりたくなります。そして、持ち込まれた目新しい事業や儲け話に飛びついてしまうのです。
しかし、そのようにしてうまくいくケースは多くはありません。むしろ、失敗に終わるでしょう。ビジネスとしてうまくいくかどうかより、自分の実績を示したいという欲のほうが勝ってしまい、冷静な判断ができなくなってしまうのです。
ビジネスとは一定の顧客を獲得し、その顧客が商品やサービスにお金を払ってくれるかどうかです。二代目社長が自らの力量を証明するかどうかは、顧客にとってはなんの関係もないことです。
ビルメン事業承継問題で後継者が陥りがちな罠「事件は会議室で起きてるんじゃない」
後継社長のなかには、高学歴であったり、大企業でサラリーマン経験を積んだりした人もみえます。特にまじめで勉強熱心な後継社長にありがちなのが、頭でっかちになり、経営を教科書の理論どおりに考え、現実を柔軟に見ることができなくなるケースです。
杓子定規な判断をし、自分の思い込みで議論をしたりしているうちに、周囲との間に溝が生まれていきます。 現場巡回することもなく、事務所にこもりがちになります。 現場から上がってくる提言を聞かなくなりますので、現場の実務家や良き時代を知る古参社員のなかには、新たな働き場を求めて、
優秀な人から辞めていくようになります。
次第に反発が強まり、思うように物事が進まなくなり、自分では正しいと信じているので余計にストレスを募らせることになってしまいます。
改善の種は現場にしかありません。踊る大捜査線的に言うと「事件は会議室で起きてるんじゃない!現場で起きてるんだ!」のセリフになります。古の韓信元帥も背水の陣と、兵法とは真逆の理論で勝利を治めました。現場の話に耳を傾けなくなると転落していくのも早いようです。良薬口に苦し、忠言耳に痛し。を胸に刻み、甘いことばかり言う社員で周りを固めることなく、広く、社員全体から耳を傾けて、意見を傾聴する姿勢が大切です。
ビルメン事業承継問題で後継者が陥りがちな罠「プライベートと会社の混同はNG」
自分に自信がなかったり、先代社長があまりに偉大であるような場合、先代の顔色ばかりうかがい、自分の特徴をなかなか出せない後継社長もみえます。
ビルメンテナンスの事業承継と同時に会社の株式の移転も行えればいいのですが、多くの場合、社長の座は後継に譲っても、株式は先代がそのまま保有しています。後継者はいわば雇われ社長であり、会社の実権は先代が握ったまま。こうなると社員や取引先も、どちらを向いて仕事をすればいいのか分からなくなり、業務にも支障が生じるようになります。後継者も責任を持って決断を下すことができず、何か失敗があるとそれを社員の責任にしてしまったりします。
トップが自分で判断せず、結果を部下に押し付けるような組織がうまくいくはずがありません。
そのほかにも、会社を私物化したり、社員を管理することが社長の仕事だと勘違いしていたり、自分に甘い人物ばかり重用したり、後継社長だからと必ずしもいえませんが、残念な社長の例は枚挙にいとまがありません。
結果的に、そういう社長がトップの会社は優秀な人材から辞めていき、取引先からの信頼も失い、最終的には他社に買収されるか、倒産や清算という末路をたどることになります。